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刺繍って、こんなに人をつなぐんだ|大阪の小さな刺繍教室での素敵な一日

大阪・自宅教室での刺繍認定レッスン

Zoomで受講してくれている三重のメンバーさんが、はじめて私の教室に来てくれた日。
刺繍のある暮らしの幸せ、仲間のあたたかさをしみじみ感じた時間になりました。

昨日は、心から「認定講座をやってきてよかった!」と思える日でした。

いつもはZoomで認定講座を受講してくれている三重県在住のお福ちゃん。
そんな彼女が、大阪城ホールで行われるアーティストのライブに来るということで、そのまま一泊して、念願だった私の自宅教室での対面レッスンに参加してくれました。

三重県からお福ちゃんがやってきた!

実際に会うのは初めて。
Zoom越しでは何度も顔を合わせていたけれど、本当のお福ちゃんに会える!という嬉しさはもちろんあって、でも私はそれ以上に「せっかく来てくれるのだから、心から良い時間を過ごしてほしい」という気持ちでいっぱいでした。

私が考えたのは大きくふたつのこと。

ひとつは、刺繍の技術や手の動きを生で見て、自由に感じてもらうこと
もうひとつは、「この教室には、刺繍を一緒に楽しめる仲間がいるんだ」ということ、そしてその人たちのあたたかさを感じてもらうことでした。

大阪メンバー5人で迎え入れ

普段は定員4名までの自宅レッスンですが、この日は特別に6名に。
日程に都合のついたtaeちゃん、西田さん、aminoさん、kaorukoさんという大阪メンバーに「この日は(レッスンの進みより)交流メインにしたいから」とお願いして集まってもらいました。

お福ちゃんの刺繍の技術については、これまでの作品を郵送で添削していたこともあり、しっかりマスターできていると安心していました。

この日は、自宅教室でやっていてもみんなが覚えにくい、刺しにくいというステッチにしぼって復習。
ひとつひとつの動きや理由、注意点などを丁寧に確認していきました。

さらに、みんなで改めて自己紹介。
手元を動かしながら、それぞれの暮らしの話や趣味、“推し”の話で盛り上がりました。

刺繍との向き合い方は、人によって本当にさまざまです。

静かな部屋でひたすらに没頭する人。
紅茶やお菓子を並べて、自分をもてなすように楽しむ人。
推しのライブ映像を流しながら刺繍でパーティー感を味わう人。
介護や育児の合間のほんの数分、自分を取り戻すように針を持つ人。

私は、みんなの「刺繍との向き合い方」の話を聞くのが大好きです。
私だけでなく、これは一般のお生徒さんだってそうですが、どんなことをしながら刺繍をしているかの話で盛り上がることはいつものレッスンでもよくあることなんです。

それを「あんな人もいる、こんな人がいる」と私が語るより、みんなが直接語り合うことでお福ちゃんにも伝わる、教室のリアルな当たり前を楽しんでもらえたレッスンとなりました。

企画当初は「教室を開きたい」という目的で始める方が多かった認定講座。
でも、西田さんが入られた頃からは、少しずつ変化が見えてきました。

「教室を開くわけではないけれど、もっと深く刺繍を知りたい」
「刺繍が大好きな人たちと、どっぷりその時間を楽しみたい」

そんな思いを持つ方が増えてきて、気づけば「仕事として刺繍を成り立たせる」以上に、「暮らしの中で刺繍があることの豊かさ、その楽しさを共有できる仲間がいること」が、うちの教室の魅力になっている気がします。

(そしてその噂の西田さん、お友達からのご希望などあり、当初はやる予定のなかった教室を限られた回数でのんびりと開いてくれています。うちとはちょっと違う、里山暮らしを感じてもらいながら2時間と短めにして、レッスン後はみんなでゆっくりとお茶やお菓子も楽しんでいるとのこと。)

(もちろん、仕事として向き合うためのスキルを身につける講座内容は変わらないままですし、私のデザインした刺繍作品の作風や世界観とみんなの好みが一致しているという前提も変わりません)

大切なことなのでもう一度…

暮らしの中で刺繍があることの豊かさ、その楽しさを共有できる仲間がいることが、うちの教室の魅力です。

そしてこれが、私にとっての「暮らしの刺繍会」の一番の自慢となっています。

…さて。

レッスンが終わり、お福ちゃんは三重へ。
そのあと残ったみんなで振り返っていたときのこと。

「今日のレッスンがお福ちゃんにとって価値ある時間になればいいな」と思っていた私でしたが、ふと気づいたんです。

それ以上に、この場に来られることが当たり前だった大阪メンバー(私も含めて)にとっても、この機会が大きな気づきをくれたのだと。

教室で当たり前にみんなで会えることのありがたさ。
こうして仲間と刺繍を楽しめる空間が、実はすごく貴重で、あたたかくて、心地よいものだということ。

それを、改めてしみじみ感じたのです。

そしてtaeちゃんの言葉。

「たとえばその日は刺繍の日なんだ!って心に決めたとして、お福ちゃんが朝7時に三重を出たら9時に大阪に着く。そこから午前中に刺繍をして、みんなでお昼ご飯も食べて、午後にはまた刺繍して…それで夕方になったら三重へ帰る。それって日帰りでも叶う。もしお福ちゃんがそうやって来てくれるなら、私も一日中付き合うよ!

なんて心強い、頼もしいことでしょう! 私なんか、「10時に三重を出たとしても大阪でランチもできるし、レッスンは午後でも充分楽しめるね」なんて言ってたのに…。だって、せっかく大阪へ来てくれるんだからしっかり楽しんでもらわなくちゃって思うとつい。

taeちゃんは笑いながら「違う違う!刺繍をしたくて来るんですよ!」って。
西田さんもaminoさんもkaorukoさんも、笑ってて。

そういえば昨日のメンバーさんは全員、私より年上の女性たちでした(会には年下の子達もいますが、昨日はたまたまそんな構成になっていました)。

私のことを、妹のようにあたたかく見守ってくれる存在です。
刺繍やパッチワークの作品を好きに作る私のことはいい感じに放っておいてくれながら、イベント前には色々と準備の心配をしてくれたり、イベント後には私の振り返りを聞いて次の課題を明確にしてくれたり。

刺繍のことだけは私が全力で伝えているけれど、人としては、引き上げてもらってばかり。

マイコ
本当に、いつもありがとう!

これまで作家活動の中で、いろんな人と出会ってきました。

思い返すと、「大はずれ」の出会いも正直ありました。
ちょっと傷ついたこと、理不尽なこと、びっくりするような経験もありました。

でも、それをすべて吹き飛ばすくらいの“良い出会い”があって、そんないいメンバーに出会えるためなら、あの大変な出会いや事件なんかも「ま、いいか!笑」と言えるくらいに楽しい仲間に恵まれている今です。

そう思わせてくれる人たちとのつながりが、今の私を支えてくれています。

 

そんな大切なことを色々と思い出して、
「認定講座をやっていて、本当によかった」――
心からそう思えた、忘れられない一日になりました。

↑もう何年も前の写真。こんな風にみんなで刺繍を楽しんだよ!っていうレッスンの写真を見て、この輪の中に入りたい!と教室へ飛び込んでくれたのが、taeちゃんの刺繍の始まりなんだそうです。

そして――

NHKの朝ドラ『べっぴんさん』で描かれた、戦後の神戸。
坂野惇子さんをモデルとした主人公が手作りの子供服づくりに邁進し、仲間とともにキアリス(モデルはファミリアさん)を立ち上げていく姿。

「手作りの輪」や「仲間と支え合う暮らし」が、あのドラマには描かれていました。

ブランドとしてのファミリアには遠く及ばないし、やっていることも違うといえば全然違う。
私たちは会社をみんなでやっているわけではなくて、うちの刺繍のデザインやカリキュラムを共有して、それぞれの向き合い方で教室を開いたり制作販売をしたり、もしくは趣味として深く楽しんだり。

でも、規模や形は違えど、私たちは私たちなりに「刺繍が暮らしにあることの幸せ」を確かに共有できている。

「べっぴんさん」が放送されていた頃には数人しかいなかった認定メンバーもコツコツと増えて、今では30人を超えるグループになりました。
中には子育てや介護のタイミングでもう何年も刺繍ができていないメンバーだっています。
それでも仲間のままでいてくれて、私も私で、彼女たちがまた刺繍に手を伸ばせる時が来た時に、前よりもさらにワクワクするような作品を提案できるように、私のやるべきことに向き合っています。

長々と書いてしまいましたが何が言いたいって……

皆さん、いつも本当にありがとう。
みんなで長生きして、これからもたくさん刺繍を楽しもうね!

  • この記事を書いた人

刺繍作家 アズママイコ

1979年生まれ・大阪市在住 「かわいいを持ち歩く」をテーマに作品やキットの制作をしています。 2010年刺繍作家として活動を開始、2012年10月刺繍教室を、2016年5月からは仕事にしたい方向けの認定講座も始め、これまで200名以上の方の刺繍デビューをお手伝いしました。 ★家族:夫、高3長女、高1次女 ★趣味は洋ラン・ピアノ

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