ハンドメイドの品、いくらで販売すればいい?

最初に考えるべきは2つ。
- 黒字にしたいですか?
- 材料費と経費はいくらかかりますか?
そして私の結論を先にお伝えすると——
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その品が売れて「また同じものを作ってください」と言われた時に、心から「ありがとうございます!」と喜んで次を作る気持ちになれる価格をつけること。
これが一番大切だと考えています。ここから詳しく見ていきましょう。
黒字にしたいですか?
「もちろん黒字でなければ!」という方も多いでしょう。
一方で、「必ず黒字でなくてもいい」という方もおられます。

- 収入目的ではなく、手を動かすことが大好き。
- 作ったものが家に溜まるより、誰かに使ってもらえたらうれしい。
- だから利益は出なくても構わない。
そんな気持ちなら、赤字でもいいと思うのです。
作ることが趣味になるように、「売ること」も趣味として楽しむのも立派な選択肢。

また、バザーなど「売れ残らないこと」が最優先になる場面もありますよね。そういう時には「黒字であること」より「買っていただきやすいこと」が大切になります。
もちろん「黒字にしたい」という方も、胸を張ってそうすべきです。
材料費だけでなく経費や時間もかけて作るのですから、その価値をしっかり価格に反映してください。
材料費・経費・人件費を考える
黒字を出すにしても、出さないにしても、「いくらかかるか」を把握しなければ価格は決められません。
材料費
アクリルたわしなら、基本は「アクリル糸代」。他に装飾がなければこれだけです。
経費
- 納品書の用紙代・プリント代
- 納品や引き上げの送料・交通費
- 包装資材費
- 店舗での販売手数料
- 編み針などの道具代
場合によっては、材料費より経費が高くなることもあります。
作業と納品数のバランスを見直すのがポイントです。
人件費

- パートのように時給を意識しますか?
- それとも内職程度で十分でしょうか?
また、オリジナルデザインなら、そのデザイン費も価格に含めるべきです。
ハンドメイド品の価格を設定する
以上を踏まえて価格を決める時、改めて大切にしたいのは——
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「また作りたい」と思える価格をつけること。
- 本当は300円欲しいのに「売れないだろうから100円で」
- 相場が100円だから「高く設定できない」
こうして気持ちを押し殺して決めた価格は、続けるほどに苦しくなるかもしれません。
逆に高すぎても売れないのが現実。
だからこそ、「自分がどうしたいか」を常に軸にしてください。
★ 「価格設定をもっと深めたい」「ハンドメイドを仕事にする視点を知りたい」という方は
→ ハンドメイドを仕事にする
価格を決めたら、あとは売れる工夫をしましょう


たとえば——
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地元のお土産屋さんでアクリルたわしを1つ200円で売る場合
パターンA:アクリルたわしを知っている主婦層
元から欲しいと思っている方は既に良さをご存知なので、過度なラッピングは必要ないでしょう。ですが、その良さをご存知だからこそ仲のいいお友達へのちょっとしたプレゼントにと思っておられるかもしれません。シンプルな包装をしておいてアクリルたわしの手入れの仕方などのメモを一緒に入れてみてはどうでしょう。
また、「吊るして乾かしやすいようにしています」などといったようなポップを用意するといいのでは。

パターンB:小学生の女の子がお友達へのお土産に買う
たとえばうちの娘たちが小学生だった時にはお友達とお土産を交換したりしていたのですが、その予算がだいたい数百円でした。その予算内で「あ、これかわいい!」と思えるものに出会うことがなかなか難しかったです。
(うちの娘たちにとって、お友達にプレゼントするには見た目のかわいらしさと予算が何より大切でした)
また、小学生のお子さんに食器を洗うためのたわしが必要かというとそうではありませんので、小学生のお子さんが欲しくなるようなアイテムを開発したらいいのではと思います。
たとえば…
- 毎日使うヘアブラシをきれいに洗うためのアクリルたわし
- スマホの画面をきれいに拭くための小さなアクリルたわし

かわいらしくラッピングをしてあげて、それも全てを完成させてしまわずに、お買い上げになったお子さんにお友達へのメッセージを書き込めるような余白をカードに残しておくとか…。もちろん、その場合には「お友達へのメッセージを書いてね」といったポップを売り場に出してあげてください。


「誰に買ってほしいのか」を具体的に描くことが、売れる工夫につながります。
誰かを想って作る、というのは、きっとこういうことなのだと思います。ここで挙げた例はほんの一部にすぎません。皆さんなら、他にどんなパターンを想像されるでしょうか?
大切なのは、「誰にでも響くもの」を目指さないこと。
よく「誰にでも響くものを狙うと、結局は誰にも響かない」と言われますが、本当にその通りだと思います。
(男の子にも女の子にも等しく響くものなんて、「鬼滅の刃」や「コナン」くらいではないでしょうか!)
せっかく自由に作れるハンドメイドだからこそ、誰に届けたいのか・どんな風に使ってほしいのかを具体的に考えることが一番大事だと思います。
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最後に:価格設定で大切なこと
大好きなハンドメイドで作ったものを販売してみること。これはとても楽しい経験です。
「素人の出来なのに悪く言われるかも…」と不安になることもあるかもしれませんが、文句を言う人の声に振り回されず、まずは「やってみたい」という気持ちを大切にしてください。
一方で、SNSなどでは「ハンパな気持ちで作って売るな!」と強い言葉を目にすることもあります。
去年の今ごろ、「コロナ対策もできていない素人がマスクを作って売るな」というブログを見て「それを読んで人にマスクを作ってあげるのが怖くなった…」と話していた方もいました。
私はその考えには同意できません。
コロナ禍での立ち振る舞いは、本来ハンドメイドという狭い視点だけでなく、医療や社会全体のことを踏まえて考えるべきものです。ここで詳しくは触れませんが、医療従事者ではない人が「ハンドメイドのプロだから」といってマスクの作り方や人の行動を強く否定するのは、やはり違うのではないでしょうか。
誰の言葉に喜び、誰の言葉に傷つくかは、自分で選ぶことができます。
私自身も、10年ほど前に心ない言葉に傷ついた経験がありましたが、そのとき夫に「誰の言葉に傷つくかを自分で決めなさい」と言われ、心が軽くなったのを覚えています。今では「私を傷つけられるのは、大好きな人だけ」と思えるようになりました。
だからこそ、きつい言葉に縮こまってしまうより、胸を張ってハンドメイドを楽しんでほしいと思います。私も楽しみます!
大阪で刺繍教室・パッチワーク教室をしています
刺繍やパッチワークを仕事にする「認定講座」もあります
価格設定について、ここでは一部を書きましたが、私の思いはもっとたくさんあります。刺繍やパッチワークを仕事にするための認定講座では、それらを受講者さんにすべて共有しています。
「今が一番若い」。子育て中の方、子育てを終えた方。ハンドメイドを仕事にしてみたいけれど何から始めたらいいかわからないという方へ。「暮らしの刺繍会」では販売や教室運営を含めて、手に職をつける学びを提供しています。
仲間とつながり、育児や家事、仕事とどう向き合いながらハンドメイドを続けていくかを情報交換し、切磋琢磨できる場でもあります。
特に「作るのは大好きで、ハンドメイドなら努力もできる。でもデザインはどうも苦手…」という方には、私のデザインした作品をそのまま取り扱っていただける内容になっています。そんな方にこそぴったりの講座だと思います。
一緒に歩んでみませんか?