刺繍と私の物語(連載)

刺繍と私の物語07|大阪の刺繍専門店・亀島商店さんとの出会い

はじめに

ぷんぷん怒るランちゃん

こんにちは。刺繍作家のアズママイコです。

「刺繍と私の物語」第7回です。

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前回の第6回から半年以上が経ってしまいました。

次は亀島商店さんとの出会いについて書こうと決めていたのですが、私にとってとても大切なご縁なので、「どうやって書こうかな」と少し肩に力が入っていたのです。

実はこの9月、亀島商店さんに関するちょっとしたお知らせがあります。それをきっかけに、あまり構えず、いつものように書いてみることにしました。

というわけで今回は、今もお世話になっている大阪市中央区の刺繍専門店「亀島商店」さんとの最初の出会いについて書きたいと思います。

今では仕事のことをご相談したり、材料を仕入れさせていただいたりと、深く長くお付き合いしていただいている亀島商店さんですが、最初にお店を訪れたきっかけは、教室を始めたばかりの頃のお生徒さんが作る、一枚の玄関マットでした。

 

最初のお生徒さんが作りたかったもの

いつものんびり、スミレちゃん

第5回で書いた、初めての自宅レッスンに来てくれた二人のお生徒さん。二人とも、当時ランが通っていた幼稚園で知り合ったママ友でした。

私は今でもそうなのですが、プライベートで出会った友達、特にママ友に、自分の仕事を積極的に宣伝することはあまりしたくありません。「教室をやっているから来てね」と言えば、誘われた側に気を遣わせてしまうような気がするからです。

娘2人に花の名前をつけるくらいにお花が好きで、こうやってお花で遊ぶこともよくしました

ただ、子どもが幼稚園へ入る頃になると、周りでも「そろそろパートに行こうかな」といった話をするようになります。そんな普通の会話の中で、私は「教室をしようと思っている」ということをふわっと話すことはありました。

すると、「友達がやっている教室なら、刺繍をちょっとやってみたい」と言ってくれる人がいました。

始めたばかりの頃は、お生徒さんがあまり多くないことが私にとっても安心でした。目の前のお生徒さんに「何を作ってみたい?」と聞いて、その人が作りたいものにぴったり合わせて、デザインや仕立てを考える。それがとても楽しかったのです。

お花のお姫さま

最初の二人のうち、一人が作りたかったのは、子どもに持たせてあげるティッシュケース。

そしてもう一人は、自宅で英会話教室をしていたので、お生徒さんをお迎えする玄関に敷く玄関マットでした。

茶色い玄関マット

玄関マットの写真がなくてごめんなさい。道ばたのお花の写真をどうぞ。

何かノートにつけていたわけでもないのに、そのときのことを今でもよく覚えています。

私は彼女の家へ遊びに行ったことがあり、玄関の床が茶色いフローリングだったことも覚えていました。(オーダーで建てられたとても素敵なお宅だったのです)

せっかく玄関に置くのなら、マットが床から浮いて見えないほうがいい。

そこで、布も床になじむ茶色にすることを提案しました。

どれくらいのサイズのマットにしたいのかも聞き、それに合わせてデザインを考えました。

このもんちゃん達、今でも現役で家にいます

そして何より、刺すのは初めて刺繍をする人です。最初の作品を楽しく刺繍してもらうことは、私にとってとても大切なことでした。

そこで、細かなリネンなどではなく、初心者さんでもカウントステッチをしやすいジャバクロスを使うことにしました。

そうして茶色のジャバクロスを探しているうちに、大阪・心斎橋に「亀島商店」さんという刺繍専門店があることを知ったのです。

 

初めての亀島商店さん

当時の園グッズで娘たちに作った歯ブラシ入れ。この二つをひっくり返すと、それぞれ裏にもお母さんうさぎと赤ちゃんうさぎが縫い付けられています

当時の亀島商店さんは、心斎橋大丸のすぐ近くにありました。

カステラ屋さんのそばにある細い階段を上っていくと、途中に小さなショーウインドウがいくつかあり、右側にある扉を開けると、その向こうには刺繍材料が所狭しと並んでいました。

私は反物の中から、玄関マットに使えそうな茶色い布を探しました。

その時点ですでに必要なサイズは分かっていました。

玄関マットをカウントステッチで刺したいこと。刺す人は初心者さんなので、ジャバクロスを使いたいこと。

店員さんにそうお話しすると、一枚の茶色い布が出てきました。

そしてその布はすでに廃色(で生産終了)になっていて、そこに残っている分が在庫のすべてとのことでした。その残りというのが、私が欲しかったサイズにほんの数センチ足したくらい。

「ちょうどよかったです。こんな布がまさにこれくらいだけ欲しかったんです!」

たしか、そのくらいのことしかお話ししなかったと思います。

けれど私は、必要な分だけそこに残っていたことがとても嬉しくて、刺繍教室を始めた自分を、刺繍の神様が応援してくれているような気さえしました。

刺繍で入れた文字って、ぷっくりと浮き上がるところがかわいいですよね…!

私にはもともと、そういう呑気なところがあります。

自分はやりたいことをやっていいのだ、と思い込むところ。そして何かいいことがあると、「これでいいのだ」と明るく納得して、また前へ進むところです。

その日も私は静かに有頂天になり、茶色い布を喜んで持ち帰りました。

今となっては、その時どの店員さんに接客していただいたのかまで覚えていたらよかったのに、と思います。

まさか、そのお店さんとここまで深く長くお付き合いさせていただくことになるとは、当時の私は思ってもいませんでした。

欲しいものがぱっと見つかったので、お店での滞在時間もそれほど長くありませんでした。

ただ、店内に並ぶたくさんの種類の刺繍布や、ずらりと並んだ色とりどりの刺繍糸、その専用の棚にはすっかりテンションが上がりました。当時の私は、まだ刺繍糸を全色揃えて持っていなかったのです。

またここへ来よう。

次はいっぱいお買い物がしたい。

そんなことを思いながら帰ったことも、覚えています。

最初に欲しかったものがぴったり見つかったことへの、ちょっとした『験担ぎ』のような気持ちもあり、次もまたここへ来て、この縁起のいいお店さんで仕入れさせていただこう、なんて思いました。そして何より、「刺繍専門店って、さすがだなあ」とも思っていました。

そんなこんなで、私は当然のようにもう一度、亀島商店さんへおじゃまします。

マイコ
初めて亀島商店の社長とお会いすることになったのは、まさに2回目の訪問でのことでした

 

 

第8回につづく

次回は、亀島商店さんを二度目に訪れた日に出会った、社長とのお話です。

 

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刺繍作家 アズママイコ

1979年生まれ・大阪市在住 「かわいいを持ち歩く」をテーマに作品やキットの制作をしています。 2010年刺繍作家として活動を開始、2012年10月刺繍教室を、2016年5月からは仕事にしたい方向けの認定講座も始め、これまで200名以上の方の刺繍デビューをお手伝いしました。 ★家族:夫、高3長女、高1次女 ★趣味は洋ラン・ピアノ

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